それぞれの夏


早朝、眠れずに布団から抜け出す。
とても腹が減っていたので、近くのスーパーへ買い物に行く。
朝食後、ネットで高校野球の情報を集める。
TV中継までまだ大分あったので、パソコンのキーボードの掃除をした。
いつもどおりにキーボードの指が触れる部分だけきれいにして終わろうと思ったが、側面もかなり汚れている。
面倒だが、マイナスのドライバーを使ってキーを一個一個取り出しきれいにした。
意外と時間が掛からなかったし、何しろ新品同様(かなりオーバー)になったキーを叩くのは気持ちがいいものだと、一人悦に入っていた。


9時前、高校野球のTV中継が始まった。
母校が東東京大会の準々決勝を戦う。
相手チームは甲子園に数回出場しているチーム。
ここまで来れば大殊勲のチームと、優勝して当たり前のチーム。
母校が付け入るとすれば先行して相手の焦りを引き出すしかないと思っていた。
2回表に母校が野手の間を抜けるラッキーな2塁打の後、送りバント、さらにはスクイズで1点を先制した。
これはもしかすると、と思ったが、相手はさすがに伝統校、その裏に母校の守備のミスにつけ込み4点を取り、あっけなく逆転してしまう。
その後も地味で目立たないところをきっちりとこなす相手チームと、守備も攻撃もどこかチクハグな母校との差が出て、結局1-8の7回コールド負けという結末を迎えることになった。
順当と言えば順当な結果なのだが・・・。


試合終了後、3塁ベンチの前で3番手として登板した背番号1の投手がクールダウンをしているのが画面に映し出された。
堪えきれないのだろうか、目には光るものが見えた。
変な話だが、この選手が何かうらやましく感じた。
人前もはばからず涙を流すこの選手は、きっとこれまで一生懸命に練習をしてきたのだと想像できるからである。
チーム全体としても、強豪校と対戦して何が通用して何がダメだったのか、より鮮明になったのではないだろうか。
これからもこのチームを見ていきたいと思う。




P.S photo-dia2様、先日は私の拙文にまたも、はてなスターをつけて下さりありがとうございました。