3断層で地震確率高まる=福島「双葉」、東京「立川」など−政府調査委
 政府の地震調査委員会は9日、東日本大震災の全国106断層帯への影響を分析した結果、宮城・福島両県の「双葉断層」と埼玉県・東京都の「立川断層帯」、長野県の「牛伏寺(ごふくじ)断層」の3カ所が動きやすくなり、地震発生確率が従来の長期評価より高くなった可能性があると発表した。具体的にどれぐらい地震が起きやすくなったかは分からないという。
 また地震調査委は、今年秋までに三陸沖から房総沖の海溝型地震の長期評価に東日本大震災の影響を反映させると発表した。
 さらに、陸上の津波堆積物や海底の地殻変動の調査結果などを積極的に評価手法に取り入れ、来年春までに東南海、南海地震の長期評価を改訂する。両地震東海地震と連動する可能性があり、新たな長期評価に基づいて防災対策を早急に強化する必要があるという。
 これまでの長期評価によると、牛伏寺断層(長野県松本市塩尻市、長さ約17キロ)で想定される地震の規模は、同断層を含む「糸魚川−静岡構造線断層帯」が動いた場合にマグニチュード(M)8程度と大きく、今後30年間の地震発生確率も14%と高い。立川断層帯(埼玉県飯能市から東京都府中市、約33キロ)はM7.4程度で0.5〜2%とやや高く、双葉断層(宮城県亘理町から福島県南相馬市、最長40キロ)はM6.8〜7.5程度でほぼ0%。
 双葉断層は放射能漏れ事故が起きた福島第1原発から近いが、地震調査委事務局の文部科学省によると、想定される地震の規模は変わらないため、耐震性評価には影響しないという。阿部勝征地震調査委員長(東大名誉教授)は「科学的根拠に基づき想定できるものは取り入れていこうという決意表明だ。地震がいつでも近くで起きるという備えが必要」と話した。


時事ドットコム(2011/06/09-21:31)